不動産DXの時代に「人のつながり」が残す価値|デジタルと対面の使い分け
公開日 / ツナガる編集部

電子契約、オンライン内見、物件情報の自動連携、顧客管理システム。不動産DXの波は、大手だけでなく中小の不動産会社にも確実に届いています。「このまま人の役割はなくなるのか」と感じる方もいるかもしれません。結論から言えば、置き換わるのは作業であって、関係ではありません。この記事では、DXで変わる部分と変わらない部分を分け、営業現場でデジタルと対面をどう使い分けるか、そして業者間の連携をどうデジタル化するかを整理します。
不動産DXで置き換わる作業
まず、デジタル化で確実に楽になる、あるいは人がやる必要がなくなる作業を挙げます。
- 物件情報の入力・転記・ポータルへの掲載
- 内見予約・日程調整・リマインド
- 重要事項説明や契約書類の電子化、押印・郵送の手間
- 入居申込や審査の書類回収
- 顧客とのやり取りの記録・引き継ぎ
- 反響への一次対応(自動返信・チャット)
これらは「早く・正確に・漏れなく」やることに価値がある作業で、人がやるほど品質が落ちる部分でもあります。ここをデジタルに任せることに抵抗を持つ必要はありません。空いた時間をどこに使うかが本題です。
置き換わらないもの:判断・信頼・紹介
一方で、どれだけツールが進んでも人が担い続けるものがあります。
- 判断:この物件をこのお客様に勧めるべきか、この条件で進めてよいか
- 信頼:「この人が言うなら」と任せてもらえる関係
- 紹介:同業者や異業種から「あの人なら」と案件を回してもらえる関係
- 調整:売主と買主、貸主と借主、元付けと客付けの間に立って折り合いをつける
- 未公開の情報:まだ市場に出ていない売り情報、これから空く部屋の話
とくに業者間の関係は、ツールでは代替しにくい領域です。同じ物件情報を見ていても、「あの担当者から回ってきた話」と「システムに流れてきた情報」では、動き方が変わります。DXが進むほど、情報そのものの差は縮まり、誰から来た情報かの差が広がります。
デジタルと対面の使い分け
「全部デジタル」でも「全部対面」でもなく、場面で切り替えるのが現実的です。目安を挙げます。
デジタルが向く場面
- 事実の共有(物件資料、日程、進捗、書類)
- 初回の接点づくり(相手のプロフィールや得意分野を事前に把握する)
- 定期的な情報提供(相手に役立つ情報を継続して送る)
- 記録が必要なやり取り
対面(または電話)が向く場面
- 初めて一緒に案件を動かす前の顔合わせ
- 条件の食い違いやトラブルの調整
- 未公開の情報や相談ごと
- 関係を長く続けたい相手との定期的な近況交換
よくある失敗は、条件のすり合わせをチャットだけで済ませようとして誤解が生まれることと、逆に事実の共有まで電話でやって相手の時間を奪うことです。「事実はデジタル、判断と関係は対面」と覚えておくと迷いにくくなります。
業者間連携のデジタル化
社内のDXは進んでいても、他社との連携は電話とFAXのまま、という会社は少なくありません。業者間の連携をデジタル化するときの順番を示します。
- 連絡手段を揃える:取引先ごとにメール・チャット・電話が混在していると引き継ぎができない。相手と合意して主な手段を決める
- 物件・案件情報の共有方法を決める:資料の送り方、更新の伝え方、保管場所
- 新しい相手の探し方をデジタルにする:業者間のマッチングプラットフォームで、エリア・業種・得意分野から相手を探す
- 対面の場を残す:オンラインで知った相手と実際に会う機会を定期的に作る
顧客情報や物件情報を社外と共有するときは、個人情報の取り扱いと守秘に注意が必要です。共有の範囲は宅地建物取引業法などの法令と自社の規程に従い、必要に応じて専門家に確認してください。
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DX時代に強い営業の人脈の持ち方
ツールが作業を引き受けてくれる時代に、営業として差がつくのは「誰とつながっているか」と「その相手にどう思われているか」です。意識したい点は次のとおりです。
- 浮いた時間を、人と会うことと相手への情報提供に回す
- 同業者だけでなく、管理・建築・士業・金融など案件に関わる業種ごとに相談できる相手を持つ
- デジタルツールを使えない相手を切り捨てず、相手に合わせた手段で関係を保つ
- 自分の得意分野と探している相手を、オンラインのプロフィールにも明記しておく
- 「システムに出る前の情報」が回ってくる人であり続けるために、もらった情報の結果を必ず報告する
DXを「人が要らなくなる話」と捉えるか、「人と会う時間を増やす話」と捉えるかで、数年後の人脈の厚みは大きく変わります。
まとめ
不動産DXで置き換わるのは入力・調整・書類といった作業で、判断・信頼・紹介・調整・未公開情報といった人の関係は残ります。営業現場では「事実はデジタル、判断と関係は対面」を目安に使い分け、業者間の連携も連絡手段・情報共有・相手探しの順にデジタル化しつつ、対面の場は残す。ツールに作業を任せて空いた時間を人とのつながりに使える営業が、DXの時代に強くなります。
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よくある質問
- Q. 不動産DXが進むと営業の仕事はなくなりますか?
- 入力・日程調整・書類作成などの作業はツールに置き換わりますが、お客様や同業者との信頼関係、条件の調整、未公開情報のやり取りは人が担い続けます。作業が減るぶん、人と会う時間をどう使うかが営業の差になります。
- Q. 業者間のやり取りはチャットだけで済ませてもよいですか?
- 物件資料や日程などの事実の共有はチャットやメールで十分です。ただし条件のすり合わせやトラブルの調整、初めて一緒に案件を動かす相手との顔合わせは、電話や対面のほうが誤解が少なく、その後のやり取りも進めやすくなります。
- Q. デジタルが苦手な取引先とはどう付き合えばよいですか?
- 相手に合わせた手段で関係を保つのが基本です。自社側の記録はデジタルで残し、相手との連絡は電話やFAXでも構いません。長く取引がある相手ほど未公開の情報を持っていることが多く、手段を理由に関係を切るのはもったいない選択です。





