不動産の法人営業の進め方|事業会社の担当者に相談される関係の作り方
公開日 / ツナガる編集部

不動産の法人営業では、担当者の社内説明に使える材料を用意し、決裁の流れに合わせて提案を分けることが基本です。事業会社が持つ工場跡地や遊休地、本社や営業所の建物は、売却・活用・移転のいずれも社内の承認を経て決まります。この記事では、個人のお客様との違いを押さえたうえで、意思決定の流れ、担当者との関係づくり、士業や金融機関と組む提案の段階を整理します。
不動産の法人営業は個人営業と何が違うか
個人のお客様は、本人や家族が納得すれば決断できます。法人の場合、窓口の担当者が前向きでも、上司や役員会、場合によっては取締役会の承認が必要です。営業の相手は目の前の担当者ですが、実際に判断するのはその先にいる人たちです。
- 決める人:担当者・部門長・経営層と、段階ごとに判断する人が違う
- 判断の基準:価格だけでなく、事業計画や会計上の影響が問われる
- 期間:社内の会議日程に合わせて進むため、検討が長くなりやすい
- 必要な資料:口頭の説明より、比較できる書面が求められる
この違いを理解せずに個人向けと同じ進め方をすると、担当者が社内で説明できず、話が止まります。法人営業は、担当者を社内で動きやすくする仕事でもあります。
事業会社の意思決定の流れを把握する
提案の前に、その会社で不動産の売却や移転がどう決まるのかを担当者に確認してください。聞きにくければ「社内でご検討いただく際、どなたにどのような資料があると進めやすいですか」と尋ねると答えてもらいやすくなります。
確認しておきたい項目
- 検討の背景:拠点の統合、事業の撤退、資金の確保など、動く理由
- 決裁の段階:誰の承認を何回経るのか、次の会議はいつか
- 社内の論点:簿価との差、従業員への影響、取引先への説明など
- 期限:決算期や移転の時期など、動かせない日付
背景と期限が分かれば、提案のどこに重点を置くかが決まります。決裁の段階が分かれば、資料を何回に分けて出すかが決まります。
担当者が異動すると、それまでの経緯が引き継がれない場合があります。面談の内容は簡単な議事メモにして担当者へ送っておくと、社内の共有にも使ってもらえ、後任との関係も途切れにくくなります。
担当者の社内説明に使える材料を用意する
法人の担当者が求めているのは、上司に説明するときにそのまま使える材料です。提案書は、担当者が自分の言葉で説明しやすい構成にしてください。材料が整えば話は進みます。
- 選択肢の比較:売却・賃貸・継続保有など、複数の方針を同じ観点で並べる
- 前提の明示:価格や賃料の見込みは、根拠と前提条件を添えて示す
- スケジュール:決裁から引き渡しまでの段取りを時系列で示す
- 確認事項:権利関係や法令上の制限など、調査が必要な点を先に挙げる
会計や税務への影響は会社ごとに事情が違うため、営業の側で断定しないでください。「この点は貴社の顧問税理士にご確認ください」と論点だけを示しておくと、担当者の社内調整がしやすくなります。
決裁の段階に合わせて提案を分ける
一度にすべての情報を出すと、担当者は整理に追われます。決裁の段階に合わせて提案を分けると、各段階で必要な判断だけに集中してもらえます。
- 方針の段階:売るか、貸すか、持ち続けるかの比較と概算を出す
- 条件の段階:選んだ方針について、価格や賃料、スケジュールを詰める
- 実行の段階:買主や借主の候補、契約条件、必要な手続きを固める
各段階の終わりに、次の会議で何を決めてもらうかを担当者と確認しておくと、検討が止まりにくくなります。社内の情報は、本人の了承を得た範囲で扱い、自社の個人情報と機密情報の取り扱いに沿って管理してください。
士業・金融機関・同業者と組む提案
法人の不動産の相談は、登記、測量、税務、融資など複数の専門分野にまたがります。司法書士、土地家屋調査士、税理士、金融機関の担当者と組んで提案できると、担当者は窓口を一つにまとめられます。
自社だけで買主や借主を見つけにくい物件は、得意な同業者と組むことで選択肢が広がります。事業用の物件に強い会社や、地域の事情に詳しい会社とつながっておくと、提案の幅が変わります。
士業や金融機関との連携の頼み方は、「不動産会社が士業・金融機関と連携するメリットと頼み方|司法書士・税理士・調査士・銀行担当者」で解説しています。
同業者と知り合う場として、ツナガるが東京都内で定期開催している不動産交流会の予定を不動産交流会・イベント一覧からご確認ください。
まとめ
法人営業で相談される営業は、担当者を社内で動きやすくする人です。意思決定の流れを先に聞き、決裁の段階ごとに説明材料を分けて出し、専門家や同業者と組んで窓口を一つにまとめてください。次の面談では、社内でどなたにどんな資料があると進めやすいかを担当者に尋ねてみてください。
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よくある質問
- Q. 法人から不動産の売却相談を受けるには、どこから接点を作ればよいですか?
- 既存の取引先や士業、金融機関の担当者からの紹介が入口になりやすくなります。法人は信頼できる相手かどうかを重視するためです。紹介を受けたら、最初の面談で検討の背景と決裁の流れを聞き、担当者が社内で説明しやすい資料を用意すると相談が続きやすくなります。
- Q. 法人営業の提案書には何を入れればよいですか?
- 売却・賃貸・継続保有などの選択肢を同じ観点で比較した表、価格や賃料の根拠と前提条件、決裁から引き渡しまでのスケジュール、調査が必要な確認事項を入れるのが基本です。会計や税務の影響は断定せず、顧問税理士に確認すべき論点として示してください。
- Q. 法人営業で検討が止まってしまうのはなぜですか?
- 担当者が社内で説明する材料を持てていない場合があります。法人は複数の段階で承認を経るため、資料が不足すると次の会議に進めません。各段階の終わりに次の会議で決めてもらうことを担当者と確認し、その判断に必要な資料だけを渡すと止まりにくくなります。





