不動産の抜き行為とは|業者間で信頼を失う行為と予防の基本
公開日 / ツナガる編集部

抜き行為とは、他社が紹介・案内した顧客や物件を、その会社を外して取引しようとする行為を指す業界の言葉です。法律上の用語ではありませんが、業者間では信頼を大きく損なう行為として受け止められます。この記事では、抜き行為と受け取られる場面の具体例、疑われないための行動と記録の残し方、起きたと感じたときの初動を整理します。法的な判断が必要な場面は、専門家への相談を前提にしてください。
不動産の抜き行為とはどんな行為か
業者間の取引は、客付け会社がお客様を連れてきて、元付け会社が物件を預かっている、という分担で成り立っています。抜き行為は、この分担の一方を外して、残った側だけで取引を進めようとすることを指します。
- 元付け側の抜き:客付け会社が案内したお客様に直接連絡し、自社だけで契約する
- 客付け側の抜き:元付け会社から紹介された物件の所有者に直接接触する
- 紹介の抜き:紹介を受けた相手と、紹介者を通さずに取引を進める
どの形でも、相手が費やした手間と信頼を一方的に奪う点で共通しています。意図していなくても、連絡の順番や記録の不足から抜き行為と受け取られることがあります。
賃貸・売買で抜き行為と受け取られやすい場面
疑われる場面には型があります。自分が当事者になりやすい状況を知っておくと、事前に手を打てます。
賃貸の場合
- 内見後の直接来店:他社で案内を受けたお客様が自社に来店する
- 現地での接触:内見の立ち会い中に、お客様と連絡先を交換する
- 申込の窓口変更:申込の段階で窓口を自社に移すよう勧める
売買の場合
- 売主への直接連絡:物件資料に記載された情報をもとに売主に接触する
- 買主への直接提案:他社が紹介した買主に、紹介元を通さず別の物件を自社で提案する
お客様の側から自社に来るケースもあります。その場合でも、どの会社の案内を受けたかを確かめずに進めると、後で問題になります。お客様に悪気はなく、手数料や対応の早さを理由に会社を変えたいと考えている場合もあります。事情を丁寧に聞き、先に案内した会社と話す必要があることを率直に伝えてください。
疑われないための行動
抜き行為を避ける基本は、誰の紹介・案内で始まった話かを、自分から確かめて相手に伝えることです。次の行動を習慣にしてください。
- 経緯を聞く:来店や問い合わせのときに、他社で案内を受けたかを尋ねる
- 先に連絡する:他社の案内が先なら、その会社に事情を伝えて相談する
- 接触の線を守る:紹介された物件の所有者や他社のお客様に直接連絡しない
- 窓口を勝手に移さない:お客様から希望があっても、元の会社と話してから決める
二つ目の連絡は気まずく感じるかもしれません。それでも先に伝えた会社は、相手から信頼されます。黙って進めるほうが、後で失うものは大きくなります。
やり取りの記録の残し方
疑いをかけられたとき、事実を示せるのは記録だけです。口頭のやり取りが多い業者間取引こそ、要点を残しておく意味があります。
- 紹介・案内の日時:誰から、いつ、どの物件で話が始まったか
- 連絡の手段と内容:電話なら要点を、メールなら本文を保存する
- 条件の取り決め:役割分担や報酬の取り決めを書面やメールで残す
特に報酬の取り決めは、口約束のまま進めないでください。お客様の情報を含む記録は、必要な範囲にとどめ、自社の個人情報の取り扱いに沿って保管します。業者間の連絡の基本は、客付け営業の動き方を扱った記事も参考になります。
元付け会社とのやり取りの基本は「元付け会社に選ばれる客付け営業の動き方|レスポンス・見極め・報告・決済後の基本」で整理しています。
抜き行為が起きたと感じたときの初動
自社が外されたと感じても、感情のまま相手を責めると話がこじれます。初動は事実の確認から入ります。
- 記録を集める:紹介や案内の経緯を時系列で整理する
- 相手に確認する:決めつけずに、経緯を尋ねる形で連絡する
- 社内で共有する:上長と状況を共有し、対応の方針を決める
誤解だった、という結論もあり得ます。報酬の請求や契約上の責任といった法的な判断は、媒介契約の内容や個別の事情で変わるため、法令と自社規程を確認したうえで弁護士などの専門家に相談してください。
まとめ
抜き行為を防ぐ一番の手段は、経緯を自分から確かめて伝えることです。他社の案内が先にあると分かったら先に連絡し、所有者や他社のお客様に直接触れず、やり取りは記録に残す。起きたと感じたら、責める前に事実を集める。今日の来店対応から、最初の質問に「他社で案内を受けましたか」を加えてみてください。
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よくある質問
- Q. お客様が自分から来店した場合も抜き行為になりますか?
- お客様の意思で来店した場合でも、他社で同じ物件の案内を受けていれば、確かめずに進めると抜き行為と受け取られることがあります。来店時に経緯を尋ね、他社の案内が先なら、その会社に事情を伝えて相談してください。進め方の判断は、お客様の意向と相手の会社との話し合いで決めます。
- Q. 抜き行為をされたとき、報酬を請求できますか?
- 媒介契約の内容や取引の経緯によって判断が変わるため、一律には言えません。紹介や案内の日時、連絡の内容、報酬の取り決めといった記録を整理したうえで、法令と自社規程を確認し、弁護士などの専門家に相談してください。記録が残っているほど、事実関係を説明しやすくなります。
- Q. 抜き行為を防ぐために業者間で取り決めておくことはありますか?
- 役割分担と報酬の取り決めを、書面やメールで残しておくことが基本です。誰が窓口になり、お客様や所有者に誰が連絡するかも事前に確認しておくと、行き違いを防げます。取り決めの内容が契約や報酬に関わる場合は、法令と自社規程を確認し、必要に応じて専門家に相談してください。





